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生まれてくる赤ちゃんを守る|RSウイルス感染症ワクチン(アブリスボ®)妊婦接種のご案内
妊娠中の皆さまへ
生まれてくる赤ちゃんを、RSウイルス感染症から守ることができるワクチンがあることをご存知ですか?
RSウイルス感染症とは
生後間もない赤ちゃんにとって最も注意すべき呼吸器感染症のひとつです。日本では毎年約12万人の乳幼児が入院し、特に生後2ヶ月未満では約50%が入院を必要とします。
アブリスボ®(RSウイルス感染症ワクチン)について
妊娠中に接種することで、お母さまの体内でRSウイルスの抗体が作られ、胎盤を通して赤ちゃんに移行します。生まれた赤ちゃんは生後6ヶ月頃まで、RSウイルス感染症に対する予防効果を得ることができます。
接種推奨時期
- 対象期間:妊娠24~36週
- 特に推奨:妊娠28~34週
- 重要:分娩予定日の14日前までに接種
当クリニックでは、妊娠28~34週の間での接種を特に推奨しています。里帰り出産予定の方は、分娩先に戻る前の接種をお勧めします。ワクチンについてご不明な点やご心配なことがございましたら、お気軽にご質問ください。
RSウイルス感染症について詳しく
RSウイルス感染症とは
RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、乳幼児の重篤な呼吸器感染症を引き起こすウイルスです。
乳幼児への深刻な影響
- 年間約12万人の乳幼児が入院
- 生後2ヶ月未満では約50%が入院を必要
- 現在のところ特効薬はありません
- 重症化すると生命に危険が及ぶ場合があります
症状の進行
段階 | 症状 | 重症度 |
---|---|---|
初期 | 鼻水、軽い咳、微熱 | 軽症 |
進行期 | 咳の悪化、発熱、食欲不振 | 中等症 |
重症期 | 呼吸困難、細気管支炎、肺炎 | 重症(入院必要) |
特にリスクの高い赤ちゃん
- 早産児(妊娠37週未満で生まれた赤ちゃん)
- 生後6ヶ月未満の乳児
- 先天性心疾患や慢性肺疾患のある赤ちゃん
- 免疫不全のある赤ちゃん
アブリスボ®(RSウイルス感染症ワクチン)について
ワクチンの仕組み
アブリスボ®は母子免疫ワクチンです。お母さまに接種することで:
- お母さまの体内でRSウイルス抗体が産生される
- 胎盤を通して抗体が赤ちゃんに移行する
- 生まれた赤ちゃんが生後6ヶ月頃まで予防効果を得られる
臨床試験による効果データ
- 発症予防効果:約50%
- 重症予防効果:約80%
- 入院予防効果:約70%
※生後6ヶ月までの臨床試験結果
安全性について
世界各国での承認状況
- アメリカ(FDA):2023年承認
- 欧州(EMA):2023年承認
- 日本(PMDA):2024年承認
- その他多くの国で承認・使用
妊婦さんと胎児への安全性は十分に確認されています。大規模臨床試験において、妊娠や胎児への悪影響は認められませんでした。
接種について
接種時期
推奨接種スケジュール
対象期間:妊娠24~36週
- 妊娠24~27週: 接種可能(早めの接種)
- 妊娠28~34週: 最も推奨される時期
- 妊娠35~36週: 接種可能(分娩予定日14日前まで)
重要な注意点:
- 接種後、抗体が胎児に十分移行するまで約14日必要
- 分娩予定日の14日前までに接種を完了することが重要
- 里帰り出産の方は、分娩先に戻る前の接種を推奨
接種方法・料金
- 接種方法: 筋肉注射(上腕)1回
- 料金: 32,000円(税込・自費診療)
- 所要時間: 接種後30分の経過観察を含めて約1時間
副反応について
主な副反応
よくある副反応(数日で改善)
- 注射部位の症状: 痛み、腫れ、赤み
- 全身症状: 軽度の発熱、倦怠感、頭痛
- 消化器症状: 軽度の吐き気
※通常2~3日で自然に改善します
稀な重篤副反応
- アナフィラキシー: 非常に稀(数十万回に1回程度)
- 重篤なアレルギー反応
当クリニックでは接種後30分間の経過観察を実施し、万が一の場合には適切な対応を行います。
接種できない方・注意が必要な方
接種できない方
- 妊娠24週未満または37週以降の方
- 発熱中(37.5℃以上)の方
- 重篤な急性疾患にかかっている方
- このワクチンでアナフィラキシーを起こしたことがある方
慎重な検討が必要な方
- 基礎疾患のある方: 心疾患、腎疾患、肝疾患、糖尿病など
- けいれんの既往がある方
- ワクチンアレルギーの既往がある方
- 免疫不全または免疫抑制剤を使用している方
- 現在服薬中の方
該当する方は、必ず接種前にお申し出ください。個別に安全性を評価いたします。ご不明な点がございましたら、遠慮なくご相談ください。
よくあるご質問
Q1. 他のワクチンと同時に接種できますか?
A. はい、同時接種が可能です。インフルエンザワクチンや新型コロナワクチンなど、他の妊婦推奨ワクチンとの同時接種も問題ありません。接種には2週間程度間隔を空ける必要があるため、他のワクチン接種をお考えの方はクリニックまでご相談ください。
Q2. 上の子がいる場合、接種は必要ですか?
A. はい、毎回の妊娠で接種をお勧めします。上のお子さんがいる場合、幼稚園・保育園・その他公共施設での感染により、RSウイルスを家庭内に持ち込むリスクが高くなるため、特に重要です。
Q3. 授乳中でも安全ですか?
A. はい、授乳に影響はありません。むしろ、母乳を通じて赤ちゃんに抗体が移行する可能性があり、追加の保護効果が期待できます。
Q4. 帝王切開予定でも効果はありますか?
A. はい、分娩方法に関係なく効果があります。胎盤を通じた抗体移行なので、自然分娩でも帝王切開でも同様の効果が期待できます。
Q5. 双胎妊娠でも接種できますか?
A. はい、接種可能です。双胎の場合は早産のリスクが高く、RSウイルス感染症のリスクも高まるため、より重要性が高いと考えられます。
Q6. 接種後に副反応が出た場合の対処は?
A. 軽度の症状であれば経過を観察していただき、ご心配な症状があればいつでもご連絡ください。軽度の症状は通常2-3日で改善しますが、強い痛みや高熱、その他気になる症状があれば遠慮なくご相談ください。
Q7. 効果はどのくらい持続しますか?
A. 生後6ヶ月頃まで予防効果が期待できます。その後は赤ちゃん自身の免疫システムが発達し、感染しても重症化しにくくなります。
Q8. 里帰り出産の場合、いつ接種すべきですか?
A. 里帰り前の接種をお勧めします。分娩予定日の14日前までに接種が必要なため、余裕を持ったスケジュールで計画してください。
当クリニックでの接種の流れ
接種前
- Web予約または電話予約「RSウイルスワクチン接種」でご予約
- 問診票記入体調や既往歴について詳しくお聞かせください
- 説明・問診効果と副反応について詳しくご説明
接種当日
- 最終確認体調や妊娠週数の確認
- ワクチン接種上腕への筋肉注射(数秒で終了)
- 経過観察30分間院内で様子を観察
- 帰宅前説明注意事項や緊急時の連絡方法をお伝え
接種前確認事項(必ずお申し出ください)
- 発熱・体調不良
- ワクチンアレルギー歴
- 最近の他ワクチン接種
- 現在服薬中の薬
- 妊娠経過の異常
接種を検討中の方へ
RSウイルス感染症は、生まれたばかりの赤ちゃんにとって非常に深刻な感染症です。
接種を検討される際の考慮点
- RSウイルス感染症は特効薬がない感染症です
- 生後6ヶ月未満の赤ちゃんは重症化リスクが高いことが知られています
- 予防によって、入院や重篤な症状のリスクを大幅に軽減できます
- 妊娠中の接種により、生まれた赤ちゃんの最も脆弱な時期を保護できます
妊娠中のワクチン接種により、生まれてくる赤ちゃんをRSウイルス感染症から守ることができます。
- 効果と副反応を十分ご理解いただいた上で検討してください
- ご家族との相談も大切です
- 疑問や不安があれば、遠慮なくご質問ください
- 当クリニックにて丁寧にご説明いたしますので、わからないことがあればお気軽にお声かけください
ご予約・お問い合わせ
Web予約
お電話でのご予約
TEL: 03-6914-1733
診療時間:
火・水・木:9:30~12:00 / 14:00~17:00
金:9:30~13:00 / 14:00~18:00
土:17:30~19:00
休診日:日曜・月曜・祝日
完全予約制(受付終了は診療時間30分前)
※ご予約時に「RSウイルスワクチン接種」であることをお伝えください
接種に関するご質問やご相談も随時承っております。わからないことがあれば、お気軽にお問い合わせください。
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